遺言書を見付けたときはどうすればいいの?法律に沿って進める秘訣

「母を亡くした娘が、母の部屋の後片づけをすることにしました。机の中の物を整理していたところ遺言書が出てきました。」このような場合はどのように対処すればいいのでしょうか?

遺言書が見つかったときの注意点

大切な人を亡くした後に、その人の想いが詰まった遺言書を発見したら、すぐにでも開封したくなる気持ちになることでしょう。しかしそれをしてしまったことで、後々大きなトラブルになることがあります。遺言書を発見したら、まずは保管。次に家庭裁判所で手続きを行う必要があります。それらについての具体的な注意点と方法について考えて行きましょう。

遺言書を発見したときの注意点

被相続人の遺言書を発見したら、まずは適切な保管場所を考えましょう。汚したり、破ったり、無くしたりしてはいけませんので、できれば金庫やカギ付きのBOXなどで保管するようにしましょう。
 
また、自分だけが隠し持っていたりするようなことをしてはいけませんので、他の相続人に見つかったことを伝えておきましょう。そして大切なことは、勝手に開封しないということです、たとえ誰かがそばにいたとしても、その場で遺言書の中身を確認するようなことはやめましょう。

なぜ勝手に開封してはいけないのか

遺言には、公正証書遺言と自筆証書遺言(秘密証書遺言)がありますが、自筆証書遺言(秘密証書遺言)を保管していたり、見つけた人は、遺言者が亡くなったら、どんな場合でも家庭裁判所に検認申立をすることが法律で定められています。「検認」とは、相続人に遺言書の存在と内容を知らせて、偽造や書き換えを防止することを目的とした手続きで、自筆証書遺言の場合、この検認を受けないと、預貯金の解約や不動産の相続登記ができません。
 
なお、「検認」を受けるまでには申し立てから約1カ月かかり、法定相続人全員の戸籍謄本と住民票、または現に住んでいる住所をそろえる必要があります。
 
また、遺言書に遺言執行者を指名していなければ、遺言執行者を決める必要があります。もし遺言書が法的に無効なものなら、相続人全員で遺産分割協議をしなければなりませんし、有効でも相続財産の調査は必要です。
 
このように、相続税の申告期限である10カ月以内に、めんどうな手続きを粛々と片付けていくことを迫られます。

家庭裁判所への「遺言執行者選任申立」と執行手続きの代行


「検認」を受けた遺言書に、遺言執行者が指定されていない場合、家庭裁判所に「遺言執行者選任申立」をして、遺言執行者を決めることができます。必須なのは、遺言書に「子の認知」や「相続人の廃除・廃除取り消し」の記述があったときですが、遺言執行者になると、いわば裁判所のお墨付きをもらって、相続手続きを単独で進める権限を得ることになります。必要書類の収集や署名・押印手続きを相続人代表として進められるので、遺言の条項に従って預貯金の解約や移転登記などもできます。
 
遺言執行者としてしなければならないことは多く責任重大ですが、専門弁護士に依頼することで、手続きの手間と時間を大幅に短縮できるだけでなく、他の相続人が勝手に相続財産を処分したり、相続手続きを妨害したりすることを阻止でき、後々のトラブル回避につながります。
 
なお、弁護士への相談は、初回無料のところもあれば、30分5000円程度の料金が発生するところもあります。質問したいことを事前にまとめておくのが良いでしょう。

まとめ

このように、遺言書には強い法的効力があります。もし遺言書を発見できなかったという場合は、遺品整理の専門業者に捜索してもらうというのも一つの方法です。遺品整理業者はこの手のプロフェッショナルであり、たくさんの現場を経験しています。故人にとって最後のメッセージとなる大切な遺言書ですから、家族でもなかなか発見しにくいところに隠されているケースも少なくありません。
 
自身で本格的な遺品整理に取りかかる前に、一度相談してみることをオススメします。

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