急増する社会的ニーズの高まりに乗じる悪徳業者の見分け方

核家族化の進展と未婚の高齢者が増えるに従い、自宅で一人で亡くなる高齢者の問題が今社会問題になっています。亡くなる前に自分の財産と整理できていれば、残された遺族にかかる負担はそれほど大きくないのですが、家財道具をそのままにして亡くなり、遺族のみでその財産を整理できない場合、遺品整理業者へ作業を依頼されることが多いです。

社会的なニーズの高まりを受けて近年遺品整理業者の数は増えており、全国に今約6,000社あると言われていますが、それに伴い、国民生活センターに寄せられる苦情の数も増えています。

トラブルの中で最も多いのは料金に関すること

国民生活センターへの相談の中で多いのは料金に関することです。具体的には見積りになかった料金を後から請求された、解約を申し出たらキャンセル料を請求されたといった類のものです。これらは業者からせかされて契約を急いだために発生したものや、大家さんや近隣住人からのクレームで遺品整理を急がなければならない事情が起こり、契約内容を吟味する時間がなかったために発生します。中には、見積り金額は3万円だったにも関わらず、最終的には十数万円支払うことになったといった被害も報告されています。

そこで、業者に見積もりを依頼するときは複数社から見積もりを取ることや、見積り金額以外に料金がかからないことを業者と書面で確認することが大切となってきます。もし問題が発生した場合には、消費者相談センターへ相談するなどの対策を取ることか肝要です。

不当に安い価格で価値ある遺品を買いたたかれるケースも

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次に多いトラブルは、不当に安い価格で遺品が買い取られたといったケースです。遺品整理業者の言い値で遺品を買い取ってもらい、数日してネットオークションで買取価格の20倍でその商品が落札されていたのを見つけた被害者がいます。これも遺族の片付けをはやる気持ちを利用した業者の悪質な行為だと言えるでしょう。

こういったトラブルに遭わないようにするためには、遺族自身が遺品の相場勘を持つことが大切です。遺品の中でも金をはじめとした貴金属や仏像、骨董、古書などは、専門業者に引き取りを依頼した場合思った以上に値段が付くことがあるので、事前に専門業者に見てもらうといいでしょう。また、遺品整理業者がリサイクル業を兼ねているような場合、古物商許可証の免許を持っているかどうか調べることでこの問題を防ぐことが可能です。

遺品の不法投棄から犯罪者にされる被害も

もっとも悪質なトラブルは業者による遺品の不法投棄です。遺品整理をする中で、再販できないものは廃棄しなければならないものが出てきます。その廃棄料金が遺品整理の中で最も大きな料金を占めるわけですが、業者の中には引き取った遺品を山や海岸などの一目のつかないところへ不法投棄し、利益をあげようとするところが存在します。

さらには、廃棄された遺品に記されていた故人の名前などの個人情報から警察に身元が特定され、故人が犯罪者扱いされるといった被害も。こういった業者は連絡先を頻繁に変えるため、連絡してもどこへ逃げたのかわからないこともあります。このような悲しい被害に遭わないためにも、業者が一般廃棄物収集運搬許可証を持っているかどうかを必ずチェックするようにしましょう。

リフォームを押し付ける業者には注意が必要

故人が借家に住んでいたような場合、片付けが終わった後にリフォームしなければ大家から過大な請求がくると嘘をつき、リフォーム契約を押し付けるような業者が存在します。遺体発見が遅れシミができていたり、異臭が残るような場合には、特殊清掃といった特殊な清掃が必要になります。しかし、故人が病院や施設で亡くなったような普通の遺品整理の場合、家財道具をすべて出し、借りていた原状に戻し返却すれば義務を果たしたことになります。畳や壁紙の色褪せのように普通に使用していて減耗したような経年劣化部分は家賃に含まれており、リフォームする必要はありません。そのため、リフォームを持ちかけてくる業者には注意が必要です。

これらのトラブルはいずれも遺族の心の隙間を狙った悪質なものです。急増する社会的なニーズに法的な整備が追いついておらず、悪質な業者が少なからず存在しています。そこで一般社団法人遺品整理士認定協会では、業界の健全な発展を促すために遺品整理士という認定資格試験を実施しています。この遺品整理士を資格を持つ業者であれば、遺品整理にまつわるガイドラインを遵守していると言えるでしょう。また評価の高い業者はネットでの口コミ評価以外にもメディアに掲載された実績もあります。作業を依頼するまでに、業者のホームページなどを一度チェックしてみることをオススメします。

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